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WNNの自由研究シリーズ・パート2 私たちが残した給食はどこへ行く?~堆肥化(たいひか)センター見学

■「あるもの」を作る原料になる?! 給食の食べ残しを追いかけてみました!

学校でのお昼時間の楽しみは、何といっても給食。仙台市内では、全ての小中学校の児童・生徒が給食を食べています。でも、苦手な野菜やきらいな味つけのおかずが出た時に、食べ残してしまったことはありませんか? その残してしまった給食は、教室を出た後どこに行くのでしょうか? 学校から出るたいていのごみは、焼きゃく施設に運ばれ燃やされます。しかし調べてみると、食べ残しの給食は燃やさず、あるものを作る原料にしていることが分かりました。そこで今回のWNNでは、小中学生のみなさんが食べ残した給食がどのようなものに変化するのかを取材してきました。

■見た目は土にそっくり! 給食の食べ残しから出来るものってなあに?

堆肥化(たいひか)センターの処理棟(しょりとう)。ここで給食の食べ残しが堆肥(たいひ)に生まれ変わります

話を聞きに行ったのは、富谷市にある仙台市の施設「堆肥化(たいひか)センター」、その名の通り堆肥(たいひ)を作る施設です。堆肥(たいひ)とは、植物が育ちやすいように土に混ぜて使うもので、見た目やさわった感じは土とあまり変わりがありません。実はここで作っている堆肥(たいひ)の原料が、小中学校で食べ残された給食なのです。

左)給食の食べ残しを入れる受け入れホッパ
右)原料が堆肥(たいひ)になるまでの流れが図で示されています

児童・生徒のみなさんが食べ残した給食と調理前残さ(給食の調理の際に出た野菜の皮など)が仙台市内5カ所にある給食センターにまとめられ、毎日午後3時頃に堆肥化センターに運ばれてきます(単独で調理している学校は数日に1回)。さらにくみ取り式トイレのはいせつ物から水分をしぼった「し尿(しにょう)系(けい)脱水(だっすい)汚泥(おでい)」、そして街路樹(がいろじゅ)や公園などの木を刈り込んだ時に出る「せん定枝葉」、この3種類の原料を混ぜて「発酵(はっこう)」を行うことで堆肥(たいひ)が作られます。
発酵(はっこう)とは、私たちの身の回りにある目に見えない小さな生き物である菌(きん)を使って、原料であるもとの状態から別のものに変化させることをいいます。菌(きん)は生きているので、空気や水、養分(原料)を食べるとよく働くようになり、発酵(はっこう)がどんどん進むようになります。

左)受け入れホッパからパイプコンベアで運ばれ発酵槽(はっこうそう)の中に入れられた原料。約42日間の発酵(はっこう)が始まります
右)水蒸気(すいじょうき)が立ち込める発酵槽(はっこうそう)の中。厚さ2mほどつもった原料の温度は、発酵(はっこう)の時に出る熱で約60~80℃になっています

幅8m、長さ90mという大きな発酵槽(はっこうそう)に入れられた3つの原料も、もともと原料についていた菌(きん)によって発酵(はっこう)します。菌(きん)の働きをより高めるためには、空気と水を必要な量だけ与えることが大切です。そこでセンターの職員さんが、発酵槽(はっこうそう)の中にある原料の状態をよく確認して、加える空気と水の量を決めているのだそうです。

左)完成した堆肥(たいひ)。右の方が堆肥(たいひ)に含まれる水分が少し多く、濃い茶色をしています
右)設の中のにおいを取る設備があり、処理棟(しょりとう)の中はにおいが少なく、処理棟(しょりとう)から外に放たれる空気もにおいがありません

こうして約42日間、しっかりと発酵(はっこう)させたら堆肥(たいひ)の完成です。堆肥(たいひ)は「杜のめぐみ」という名前で、仙台市内の街路樹(がいろじゅ)や町内会の花だんなどに使われています。

左)完成した堆肥(たいひ)は、自動で袋につめられ重ねられます
右)完成品「杜のめぐみ」は品質が良いと評判。定期的に検査を行って、成分や安全性をチェックしています

■堆肥化(たいひか)センターは、地球にやさしい循環型(じゅんかんがた)社会(しゃかい)を進める施設でした

堆肥化(たいひか)センターの敷地内では、試験的に「杜のめぐみ」を使った野菜の栽培が行われていました

食べ物が発酵(はっこう)して堆肥(たいひ)になる。こうした変化は、実は自然の中で当たり前に起きている現象(げんしょう)です。たとえば、畑で実りすぎて土に落ちてしまった野菜や山の落ち葉なども、そのままにしておくと長い時間をかけてゆっくりと発酵し、栄養たっぷりの土となります。その土の栄養を使って、また野菜が実ったり草花が生えてきたりするのです。堆肥化(たいひか)センターは、そうした自然の中の「実る→発酵(はっこう)する→土になる→実る…」というサイクルを早めるお手伝いをする施設ということができるでしょう。

堆肥化(たいひか)センターの役割は、それだけではありません。センターが作られるまではごみとして燃やしていた給食の食べ残しなどを再び使えるものにする、つまりリサイクルができる施設なのです。
ごみを燃やすことは、今世界中で大きな問題になっています。燃やすときに出る二酸化炭素が、地球全体の平均気温を上げる「地球温暖化」の原因になっているからです。だから、まだ使えるものをリサイクルしてごみを減らすことは、地球と環境にとてもやさしいことなのです。こうした取り組みを進めている世の中を「循環型(じゅんかんがた)社会(しゃかい)」と呼んでいます。堆肥化(たいひか)センターは、循環型(じゅんかんがた)社会(しゃかい)を進める役割がある施設ということができます。

原料の受け入れ量や堆肥(たいひ)の状態を毎日チェックしている早坂さん

最後に堆肥化(たいひか)センターの早坂さんから、こんな話がありました。実は今年度に入ってから、堆肥化(たいひか)センターに持ち込まれる給食の食べ残しが増えているのだそうです。昨年度までは1日4トン程度持ち込まれていたのが、休校が終わり6月から授業が始まると、毎日5~6トンも持ち込まれるようになったとのこと。食べ残しがこのままどんどん増えてしまうと、原料を堆肥(たいひ)に変えるための処理が追いつかなくなってしまうという心配があります。職員さんは、児童・生徒のみなさんが食の大切さや地球環境にやさしいことは何かに気づき、少しでも食べ残しが減ることに期待しています。
なお堆肥化(たいひか)センターは、予約をすれば見学することができます。自動で動く大きな機械や、給食が堆肥(たいひ)に変わる途中の発酵槽(はっこうそう)の中身、そして製品として完成した堆肥(たいひ)「杜のめぐみ」などを見ることができますよ。

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