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想いをともにする仲間と一緒に楽しんで-マリズファーム 髙山真里子さん

髙山真里子さん

少ない手数で、無理せず野菜とつきあう

3棟のハウスと八反歩の畑で、野菜づくりをしている髙山さん。赤辛子水菜やルッコラ、エディブルフラワーといっためずらしいものから、仙台白菜や仙台雪菜、芭蕉草などの伝統野菜まで「長年つきあいのある飲食店からの依頼を受けて」作付けするうちに、通年で80品目もの野菜を作るようになっていました。農作業を行うのは髙山さんひとり。だからできる限り手をかけずに、畑の世話をする工夫をしています。

例えば苗を植えたらすぐに虫除けネットをかぶせてしまい、収穫時期までそのまま放置。これにより虫害のリスクをグッと下げ、農薬を使わず健やかな野菜を育てることができます。また土作りは牛糞堆肥をすき込むだけというシンプルさ。さらに作付けに失敗した葉野菜も気にせずすき込み、そのまま緑肥にしていまいます。扱っている野菜が少数多品目であることも手伝い、「失敗したかな」と思ったらぱっとリセットしてしまうそう。髙山さんはにっこり笑い、こう言います「この辺りは砂地がベースだから、水はけがいいんですね。通常は連作障害の対策で土を休ませたりするんでしょうけど、その辺りは気にせず、おおらかにやっていますね」。
土地の力を信じて行うシンプルな土作り。農薬散布をほとんど行わない物理的な防虫対策。そして出荷しない野菜を廃棄せず、緑肥として再利用する試み。いずれも省力化を目的としたものではありますが、はからずもごみを出さない、健やかな環境保全につながっている点に興味惹かれます。

くよくよ悩まず笑顔で切り替えるスタイル

もともとは会社員だった髙山さんですが、勤めて10年目のときに「実家の農業を継ごう」と脱サラ。そして試行錯誤の中、自分なりの挑戦をしていた3年目の2011年、東日本大震災に遭いました。しかし当時の苦労を「苦労」と語らないのが髙山さんです。「震災をきっかけに、それまでやっていた米作りを辞めてね。畑一本に集中するよう路線変更しました。その後2年ぐらいで収益が出るようになって“野菜づくりで食べていけそう!”っていう状況になったかなあ」。女手ひとつで息子ふたりを育てていたから、なんとかなってホントよかった!とコロコロ笑う髙山さん。思ったらぱっと切り替え、さっと行動に移す。そんなはつらつとしたエネルギーが、小気味の良い言葉の端から溢れてきます。

仲間と一緒に楽しまなきゃモッタイナイ

髙山さんが力を注いでいるのは野菜づくりだけではありません。農家仲間で取り組んでいる「料理イベント」も、大切にしている活動の軸です。「自分たちで作っている野菜を美味しく食べる方法を伝授するのもあるけれど、実は農家って古い風習を大切に継いでいるところが多いんですよ。そんな文化も一緒に伝えることができたらいいなって思っていて」。例えば先日行った、一帯に伝わる「鏡餅の作り方講習会」もそのひとつ。ついた餅のちぎり方や丸め方、仙台雑煮には欠かせない“ひき菜”の作り方。また餅の下に敷く「海老紙」の飾り方や、「あんこ餅は、1月14日までこしあん、15日以降はつぶあん」というしきたりと理由などを、わいわいと楽しみながら伝授しました。こうした活動を共にする仲間のネットワークは、いまや宮城県全域に広がっているといいます。 「農家って実は、なかなか横のつながり持つ機会がないんです。だからこういう企画を通じて、仲間と親交を深める行為自体がすごく楽しいんです。先日は、イベントをまったく関係ないところで“遠足”に行ったりしたんですよ(笑)」と髙山さん。その笑顔は、イキイキと輝いていました。

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